初めて戸隠の昔から伝わる品種である戸隠在来種を栽培した2013年の記録です。
今年の栽培記はまたまとまりしだいUPしたいと思います。
この第1回目の蕎麦栽培の一番の目的は、他の品種と交配させない種の保存。
蕎麦はミツバチの力でかなりの範囲で交配してしまいます。そこで絶対は無理ですが、なるべく交配しないように標高1200m、一番近い蕎麦畑まで距離1kmくらい標高差200mほど離れた店のすぐそばの畑を借りることに。
とにかく畑は素人なので、さまざまな人のアドバイスをもらいながらの試行錯誤の栽培。
前年からの土作り、種まきから発芽、開花から実をつけ、収穫から脱穀、製粉、製麺までなんとかたどり着きました。
これはその80日間ぼどの記録です。
戸隠のほとんどの蕎麦畑は標高600〜1000mに沢山あります。
そこからこの1200mに200m上がるだけでずいぶん気象条件が変わります。
一番コワイのが収穫時期の積雪。 蕎麦は撒いてから75日で収穫できるので、通常の戸隠の撒く時期である7月下旬〜8月上旬だと収穫が10月中旬になってしまいます。
この時期が数年に一度ですが積雪の可能性があるのです。今回はこの積雪のリスクの回避とやはり平均気温がまるで変わるので、2週間ほど時期を早めて7月10日に種まきをしました。。
ビギナーズラックというか素晴らしく天候に恵まれ、5日でしっかりと芽が出て、8月のお盆には蕎麦の花で満開になりました。
順調に来たのですが、8/23に大雨に遭いまして半分が倒れてしまいました。(> <)
しかし見に行くと倒れていてもミツバチがブンブン飛んでいましたので、根拠は無いのですが、なんとなく安心。
さて、今回栽培してみていくつもの発見がありました。
まず戸隠在来種の特性。
真ん中の写真のように丈が150cmほどになるのです。昔の戸隠の写真に蕎麦を刈って担ぐ老婆の姿があったのですが、明らかに背丈ほどあったので、不思議に思って居ました。そこで友人に聞いたり、調べてみると北海道の古い品種である牡丹種も2mほどになるそうです。なるほど(・∀・)
品種改良とは生産しやすさも求めます。丈を短くしてやれば倒れるリスクはずいぶん減りますものね。倒れなければコンバインでバリバリ刈れますから生産性は格段にあがります。
ちょうど今年「信濃ひすい蕎麦」というものが正式登録されたと新聞に出ていましたが、そこに色や味の他に「倒れにくく」と交配させた目的がしっかり書いてありました。なるほどね。
そして赤い実もたくさん付いているのも戸隠在来種。茎の下の方まで実が付くのも在来種。何時までも花が咲き続けるのが在来種。
ものすごく楽しくなって来ました。
そして今回、どうしてもやりたかったのが、手刈りと島立て。
もっとも丈が長くて倒れやすい在来種にはコンバインは向きませんので手刈りです。
有志というか、ほとんど私に無理矢理連れてこられたメンバー5人による手刈りを終えました。
そして重要なのが左の写真のように束ねて、島立てによる天日干し。天候にもよりますが1週間ほど干すことによって実が茎の養分を吸って追熟するそうです。コンバインで刈ってしまうとこれが出来ないのが大きな違いです。お米もハゼがけして追熟させたものの方が美味しいそうです。
今回は休みの都合もあり6日間干しました。(^^ゞ
そしてまた有志のメンバーに手伝ってもらい、乾燥した茎についている実を叩いて実を外す作業。
そして折れた茎などを取り除いた結果が真ん中の写真。枯葉などのゴミだらけで蕎麦の実なんて見えません・・・
そこで登場が唐箕(右の写真)。今年は借り物です。
風の力で軽いゴミを吹き飛ばし、比重の思い蕎麦の実が選別されます。
唐箕にかけてゴミを除いたものを、今度はゴザに広げて乾燥。
この日は夏のような日差しだったので2時間ほど干しました。ビニールシートなどだと下に水が溜まってしまうそうです。30分くらいずつひっくり返して、もうこの段階では皆でビールを飲みながらノンビリです。
ほとんど道具を貸してくれて手伝ってくれたカメラマンの達さん。農業見習いのジョリオさん。恐妻家の忍くん。本当にありがとう。
綺麗に実を取り出せたけど、まだまだ手間のかかる作業が続きます。 まずは「磨き」という工程。
蕎麦の実の表面に付いたホコリや産毛、そしてガクなどを綺麗にするのですが、
予定していた家庭用精米器がつまってしまい機能せずヽ(´▽`)ノ しかたなく細かいネットを使い手もみです。
小一時間の作業の後は次の工程「石ぬき」です。左の写真のようにお椀一杯の蕎麦の実にこれだけ小石や土の塊が入ります。
そして今回のもう一つのこだわりが、玄蕎麦を鬼殻ごと挽く「玄挽き」です。
在来種というのは不揃いで、殻剥き機にかけると小さい実ははじかれてしまいやすいのです。この小さい実が美味しいのに・・
何より「戸隠在来は殻ごと挽いた方が美味いよ」との先輩よりにアドバイスがあり、玄挽きすることにしました。
戸隠在来は殻が混じってもエグみが出にくいとのことなので、粗めの篩(24メッシュ)を使って、かなり黒い星の入った粉が出来上がりました。
さて、いよいよ打ちます。
かなり黒い攻撃的な蕎麦になりそうです。というかなってます。
それでも太くしてしまうのは好みでは無いので、なるべく細くなるように頑張りました。
丸抜きを何枚も粗挽きで打ってきた経験がココで生きます。
大勢の方々の手助けでようやく麺にすることが出来ました。
かなり真っ黒でザラザラゴリゴリした蕎麦ですが、爆発的な香りと甘味を持ちます。
喉ごしというものとはかけ離れますが、飲み込んでもいつまでも香りが口の中に残るほど強烈です。
|
|
Copyright (C) 2014 Futabaya Co., LTD. All rights Reserved.
当サイトに掲載のコンテンツ(情報・資料・画像等)の無断転載を禁じます。 |
|